自給自足型の書店

郊外の古本屋の多くは、自分の店でお客様から買い取った本を中心に扱うという自給自足型の商売をしていました。ほとんどの店舗では、広告や看板で古書の買い取りを宣伝していまました。それだけお客様との密なコミュニケーションを大切にしていたということです。

 店舗の面積は小さく、売れない本もたくさんありました。しかし、その売れ行きがかんばしくない本が、重要な意味を持つことなります。例えばドイツの詩集がたくさんあれば、その店は「ドイツ詩集の専門点」と名乗るようになるのです。そこにある商品は売上に貢献するというよりもむしろ、むしろその店を象徴する看板として役割を果たしているのです。

 書店にとって、看板商品は、買い取りのためになくてはならないものです。看板になる本があってはじめて、本格的な古書店であることをアピールできるのです。

 自給自足型の本屋は、ないも店頭しか販路を持たないわけではありません。むしろ店は買い取りのための基地のようなもので、ほかにスーパーやデパート、古書会館、各所で開かれる即売会、目録を発行しての通信販売など、店頭以外での販路が、売上の大きな割合を占めています。その中でも重要なのが、交換会への出品です。

 高度な本や大量の本の買い取りがあったときは、郊外の小さな店では自力ですべての作業を行うことができないので、中央の市場に出すことになります。市場にはあらゆる分野の専門店が集まっています。貴重な本を出品すれば、正当に評価されて、普段の評価とはまったく違う高価な買取価格がつくこともあります。古本屋にとっては、たまにめぐってくるそのような「いい買い取り」は、一般企業におけるボーナスのようなものだと言い換えてもいいかもしれません。

 

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